別荘の費用、総額は?購入費から維持費までプロが徹底解説

都会の喧騒を離れて、自然豊かな場所で心ゆくまでリフレッシュできる別荘ライフは、多くの方にとって憧れの暮らしです。ただ、その夢を現実にするためには、物件購入時の初期費用だけでなく、所有し続けるあいだに発生する維持費まで含めて考えておく必要があります。

この記事では、別荘にかかる費用を「購入費」と「維持費」の2つに分けて整理し、費用の全体像をできるだけ具体的にお伝えします。栃木ハウスは、注文住宅だけでなく別荘建築にも多く携わってきた住宅会社として、土地探しから設計、建築後の暮らし方までを一貫してサポートしてきました。その経験も踏まえながら、後悔のない別荘選びに役立つ視点をお届けします。

別荘購入で夢のセカンドライフ!でも費用はどれくらい?

都会を離れ、四季折々の自然に囲まれた場所で、家族とゆったり時間を過ごす別荘ライフ。週末には趣味に没頭したり、子どもたちが外でのびのび遊ぶ姿を眺めたりと、普段の暮らしとは違う時間の流れを感じられるのが別荘の大きな魅力です。

一方で、夢のような暮らしを実現するには、現実的な費用の把握が欠かせません。別荘の購入は大きな買い物であり、購入後にも毎年かかる費用があります。気持ちだけで購入してしまい、あとから維持費や想定外の出費に悩んでしまうケースも少なくありません。理想の別荘ライフを長く続けるには、事前の費用計画が非常に重要です。

別荘にかかる費用は「購入費」と「維持費」の2種類

別荘の費用について考えるときは、まず全体像をシンプルに整理しておくとわかりやすくなります。大きく分けると、別荘にかかる費用は一度だけ発生する「購入費(初期費用)」と、所有している限り毎年かかる「維持費(ランニングコスト)」の2種類です。

購入費には、別荘そのものの価格に加えて、印紙税や登録免許税、不動産取得税といった税金、仲介手数料やローン関連の費用、火災保険・地震保険の加入費用などが含まれます。維持費には、毎年の固定資産税・都市計画税、別荘地やマンションの管理費、水道光熱費や通信費、火災保険・地震保険の更新料、修繕積立金や修繕費などが含まれます。

この2つの性質が違う費用を切り分けて理解し、無理のない資金計画を立てることが、別荘ライフを成功させるうえでの土台になります。

【ステップ1】別荘の購入にかかる初期費用の内訳と相場

別荘の購入を検討するとき、多くの方が最初に気になるのは「一体どれくらいの初期費用が必要なのか」という点ではないでしょうか。この章では、別荘を手に入れる際に最初に必要となる費用、つまり初期費用の内訳と考え方を整理していきます。

物件そのものの金額に目が向きがちですが、実際には税金や手数料、保険などの費用もかかります。こうした項目をあらかじめ把握しておくことで、「自己資金をどの程度用意すべきか」「総額はいくらになりそうか」といった具体的なイメージが持ちやすくなります。ご自身のケースと重ね合わせながら読み進めてみてください。

物件本体にかかる費用

初期費用の中で最も大きな割合を占めるのが、物件本体にかかる費用です。別荘といっても形はさまざまで、土地を購入して新築で建てる場合、既存の中古物件を購入する場合、中古物件を購入してリフォームする場合など、いくつかのパターンがあり、それぞれ必要な予算や費用の考え方が大きく異なります。

どの選択肢が適しているかは、希望する暮らし方や予算、将来の使い方によって変わります。栃木ハウスでも、別荘を希望される方から「新築と中古のどちらが自分たちに合うのか」「土地から探したほうがよいのか」といったご相談をいただくことが多くあります。メリット・デメリットを整理しながら検討することが大切です。


土地の購入費用・建築費(新築の場合)

新築で理想の別荘を建てる場合、まず必要になるのが土地の購入費用です。土地の価格は、そのエリアが観光地に近いかどうか、駅や主要道路からの距離、広さ、接道状況、日当たりや眺望など、さまざまな条件によって大きく変わります。人気エリアの景観が良い土地ほど坪単価は高くなる傾向があります。

土地がおおよそ決まったら、次に必要となるのが建築費です。建築費は、建物の構造(木造か鉄骨造か)、延床面積、間取り、内装や設備のグレード、使用する建材などによって左右されます。一般的には、鉄骨造は木造に比べて費用が高くなることが多く、こだわりのデザインや最新設備を取り入れるほど建築費も増えていきます。

例えば、木造軸組工法で延床約30坪の別荘を建てる場合、建築費だけで2,500万〜3,000万円以上になるケースも珍しくありません。昨今の資材高騰により、さらに上昇する傾向にあり、土地の価格と合わせると相応の金額になりますので、あらかじめ余裕を持った計画が必要です。栃木県内でもエリアや条件によって土地価格が大きく変わるため、土地探しの段階から建築費とのバランスを見ながら検討していくことが重要です。


物件の購入代金(中古の場合)

中古の別荘を購入する場合は、物件の購入代金が中心になります。新築のように土地と建物を別々に考える必要がなく、総額を把握しやすい点はメリットといえますが、築年数や建物の状態、立地条件、眺望、設備の状態など、価格を左右する要素は多岐にわたります。

リゾート地の中心に近く、手入れが行き届いた築浅の物件は価格が高くなりやすく、駅からの距離がある物件や築年数の経った物件は、比較的手頃な価格で売り出されていることがあります。同じエリア内でも、湖畔に近いか、少し山側なのかといった違いで価格差が大きくなることもあります。

購入価格が安く見えても、購入後に大規模な修繕が必要になると、トータルの費用負担が大きくなる場合があります。そのため、物件価格だけで判断せず、建物の状態を事前にしっかり確認することが重要です。必要に応じて専門家による建物調査を行い、見えない部分まで含めてチェックしておくと安心です。

リフォーム・修繕費用

中古別荘を検討する際には、物件価格とあわせてリフォーム・修繕費用も必ず考えておきたいところです。特に築年数の経った物件では、購入後に何らかの修繕や設備更新が必要になるケースが多く見られます。

水回り(キッチン・浴室・トイレなど)は劣化しやすく、新しい設備への交換が必要になることがあります。また、屋根や外壁、給湯器、サッシ、床材なども、経年によって補修や交換が必要になる場合があります。

こうした修繕費用は、箇所や規模によって数十万円から、間取り変更を伴うような大きなリノベーションでは数百万円~1000万円以上に達することもあります。中古物件を選ぶ際は、購入価格だけでなく、将来的なリフォーム費用も含めた「総額」で比較検討することが大切です。栃木ハウスでも、中古物件をご検討中のお客様に対し、「この状態であればどの程度のリフォームを想定しておくべきか」といったご相談にお答えすることがあります。

購入時にかかる諸費用

別荘の購入時には、物件本体の価格とは別に、さまざまな諸費用がかかります。中古物件の購入では物件価格の6〜9%程度、新築の場合は3〜6%程度が目安とされることが多く、総額で数十万円〜数百万円になることもあります。そのため、物件価格だけでなく諸費用も含めて資金計画を立てることが重要です。

ここでは、主な諸費用として仲介手数料、各種税金、ローン関連費用、火災保険・地震保険の費用について整理します。

仲介手数料

別荘を不動産会社の仲介で購入する場合、まず必要になるのが仲介手数料です。仲介手数料の上限は法律で定められており、売買金額によって変わりますが、一般的には「売買価格の3%に6万円を加算し、その合計に消費税をかけた金額」で計算されます。

例えば2,000万円の別荘であれば、3%にあたる60万円に6万円を加えた66万円が基準となり、これに消費税を加えると、およそ72万6千円が目安となります。購入を検討している物件の価格にこの計算式を当てはめておくと、仲介手数料の規模感を早めに把握でき、初期費用の見通しが立てやすくなります。

別荘地では、都市部とは異なる管理規約や利用ルールが設定されている場合もあり、契約書の読み解きや追加費用の有無を確認しながら進める必要があります。こうした点は、購入の終盤で慌ただしく整理するよりも、検討の初期段階から概要を押さえておくほうが安心です。

税金(印紙税・登録免許税・不動産取得税)

別荘を購入する際には、いくつかの税金が関わります。売買契約書に貼付する印紙税は契約金額に応じて決まり、登録免許税は土地や建物の所有権移転などを登記する際に必要な税金です。登録免許税は、土地や建物の固定資産税評価額に税率を掛けて算出しますので、物件ごとに金額が異なります。

不動産取得税は、不動産を取得した人に対して一度だけ課される税金で、購入から半年〜一年ほど経った頃に納付書が届くのが一般的です。別荘地が所在する自治体によっては、評価額の基準や軽減措置の有無が異なることがあり、同じエリア内でも立地や道路状況によって評価額が変わることがあります。

こうした税負担の目安をあらかじめ把握しておくと、購入後に思わぬ支出に驚かされることが少なくなります。税金は購入時だけでなく、その後も固定資産税などが毎年発生しますので、長い目で見た資金計画の一部として考えておくことが大切です。

なお、印紙税や登録免許税、不動産取得税の税率や各種軽減措置の内容は、見直しにより変更される場合があります。具体的な金額や適用条件については、必ず最新の情報を税務署や自治体の窓口、担当の不動産会社・司法書士などに確認したうえで判断するようにしましょう。

ローン手数料・保証料

別荘の購入でローンを利用する場合、金融機関に支払う事務手数料や、保証会社に支払う保証料が必要になります。事務手数料は金融機関によって、一定額の定額制の場合と、借入額に応じて変動する場合があります。保証料は、一括で支払う方法と、毎月の返済額に上乗せする方法があり、結果的な総支払額が異なるため、慎重に比較して検討する必要があります。

別荘ローンは、自宅用の住宅ローンに比べて商品数が少なく、金利が高めに設定されることもあります。金利だけを見て判断してしまうと、手数料や保証料を含めた総返済額との間に差が出ることがあるため、複数の金融機関の条件を早い段階で比較し、総額のイメージをつかんでおくことが有効です。


火災保険料・地震保険料

別荘は、常に誰かがいるわけではないため、不在時のリスクも考慮した火災保険や地震保険への加入が重要になります。火災保険の保険料は、建物の構造や延床面積、立地条件などによって変わります。山間部や積雪の多い地域では建物への負荷が高くなることがあり、それに応じて保険料が変わる場合もあります。

地震保険は火災保険とセットで加入するしくみになっており、補償内容や加入割合によって費用が変わってきます。ローンを利用する場合、火災保険への加入が必須条件となることが多いため、補償の範囲や保険料を含めて検討しておく必要があります。火災保険・地震保険の費用は、購入時だけでなく更新のたびに発生する維持費でもあるため、長期的なランニングコストとしても意識しておきましょう。

【タイプ別】別荘の購入費用シミュレーション

ここまで、別荘の購入にかかる初期費用の主な内訳を見てきました。「結局、総額でどのくらいになるのか」をイメージしたい方も多いと思います。このセクションでは、これまでの内容をふまえ、代表的な3つのケースを設定して、具体的な金額感を確認していきます。

中古の戸建て別荘と戸建て新築、リゾートマンションという3つのパターンについて、購入時にどの程度の費用が必要になるのかを試算します。ご自身の希望に近いタイプに置き換えながら、費用感をつかむ参考にしてください。

ケース1:中古の戸建て別荘を購入する場合

まず、多くの方が憧れる中古の戸建て別荘を購入する場合を想定してみます。ここでは、物件価格2,000万円、築年数20年、構造は木造戸建て、土地は所有権付き、人気の別荘地で最寄り駅から車で15分程度という条件を設定します。

この条件で物件を購入した場合、おおよその初期費用は次のように考えられます。物件価格は2,000万円です。仲介手数料は、物件価格の3%に6万円を加えた金額に消費税を足したもので、約72万6千円となります。売買契約書にかかる印紙税は、2,000万円超5,000万円以下の物件に該当するため1万円です。

土地と建物の登録免許税は、固定資産税評価額や軽減措置の有無により変動しますが、ここでは約40万円とします。不動産取得税も同様に評価額や軽減措置によって変わりますが、目安として約30万円としておきます。火災保険料と地震保険料は、5年分を一括で支払う想定で約20万円とし、そのほか司法書士報酬やローン関連費用などの諸費用として約30万円を見込んでおきます。

ケース2:戸建て別荘を新築する場合

次に、土地を購入して戸建て別荘を新築するケースを見ていきます。今回は、物件価格に相当する「土地+建築費」を合わせて4,000万円程度と想定し、費用の内訳を整理してみましょう。想定条件は、土地価格が1,500万円、建物は木造で延床30坪ほど、建築費が2,500万円というイメージです。

この場合の初期費用は、まず土地代1,500万円と建築費2,500万円が大きな柱になります。土地を仲介会社を通じて購入する場合は仲介手数料が必要で、「1,500万円 × 3% + 6万円」に消費税を加え、約56万1,000円が目安です。土地売買契約書に貼付する印紙税は1万円程度、建築工事請負契約書にも契約金額に応じた印紙税がかかります。

さらに、土地の所有権移転登記や建物の保存登記などに必要な登録免許税が発生します。金額は固定資産税評価額や各種軽減措置によって変動しますが、数十万円規模になることが一般的です。不動産取得税も、土地と建物の評価額に基づいて一度だけ課税されるため、こちらも見込んでおく必要があります。

火災保険料・地震保険料は、建物の構造や補償内容によって変わりますが、5年一括払いで20万〜30万円程度がひとつの目安です。このほか、地盤調査費用、建築確認申請手数料、司法書士報酬、ローンを利用する場合の事務手数料・保証料など、諸費用として数十万円単位の費用が積み上がります。

以上を合計すると、土地と建物の4,000万円に対して、諸費用はおよそ200万〜300万円ほどが目安になります。あくまで概算ではありますが、新築別荘を検討する際には「本体費用に加えて、全体の5〜7%程度の諸費用がかかる」というイメージを持っておくと、資金計画が立てやすくなります。

ケース3:リゾートマンションを購入する場合

次に、手軽さや管理のしやすさから人気の高い「リゾートマンション」を購入する場合の費用を見ていきます。ここでは、次の条件を設定します。

物件価格は1,500万円、築年数は25年、間取りは1LDK(約50㎡)。立地はスキー場や温泉街に近いエリアを想定しています。

この条件で物件を購入した場合、おおよその初期費用は次の通りです。
物件価格は1,500万円。仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)は「1,500万円 × 3% + 6万円」に消費税を加え、約56万1,000円となります。売買契約書の印紙税は、1,000万円超5,000万円以下の物件に該当するため1万円です。建物の登録免許税は、固定資産税評価額や軽減措置によって変わりますが、ここでは約20万円とします。不動産取得税は、同じく評価額などによって変動しますが、目安として約15万円程度を想定しておくとよいでしょう。

仮に、火災保険料・地震保険料は、5年一括払いで約15万円。そのほか、司法書士報酬やローン関連費用などの諸費用として約20万円を見込んでおきます。

これらを合計すると、初期費用は約1,627万1,000円となります。戸建てのケースと比べると、そもそもの物件価格が低めであることに加え、土地に関する税金がかからないため、諸費用も抑えられる傾向があります。リゾートマンションの場合も、概ね「物件価格の1割程度の諸費用がかかる」という目安で資金計画を立てておくと、ご自身の予算と照らし合わせやすくなります。

【ステップ2】購入後に払い続ける「維持費」を徹底解剖

別荘は、購入して終わりではありません。所有している限り、毎年さまざまな費用がかかり続けます。こうした維持費は、物件のタイプや立地、利用頻度によって大きく変わるため、購入前に可能な範囲で把握しておくことが、無理のない別荘ライフを続けるためのポイントです。

維持費の見込みが甘いと、「せっかく夢をかなえたのに、維持が負担になって手放さざるを得ない」といった結果につながることもあります。この章では、別荘の年間維持費の目安、主な内訳、物件の特性によって追加で発生し得る費用について順を追って見ていきます。費用の全体像をつかむことで、理想の別荘ライフを現実的かつ継続可能なかたちで計画する助けになります。

別荘の年間維持費は平均50万〜80万円が目安

別荘の年間維持費は、多くのオーナーが最も気にされるポイントの一つです。物件の種類や規模、利用頻度などによって金額は変わりますが、多くの事例では50〜80万円前後に収まるケースが目立ちます。このなかには、固定資産税や都市計画税といった税金、別荘地やマンションの管理費、電気・ガス・水道などのライフラインの費用、火災保険・地震保険の保険料などが含まれます。

ただし、これはあくまで平均的な水準です。リゾートマンションと戸建て別荘では、費用項目や金額の傾向が異なりますし、温泉施設付きの物件や雪の多い地域の物件、広い庭付きの物件などでは、温泉使用料や除雪費用、庭の手入れ費用などが追加でかかり、維持費が高くなるケースもあります。続くセクションで、こうした維持費の内訳を項目ごとに具体的に確認していきます。

必ずかかる維持費の内訳

別荘の年間維持費には、大きく分けて、どの物件でも必ず発生する費用と、物件の特性や契約条件によって追加で発生する費用があります。まずは、別荘を所有する方であれば基本的に共通してかかる維持費から整理していきます。

これらの費用は、別荘をどの程度利用するかにかかわらず、所有している限り発生し続ける性質のものです。そのため、購入前に年間の予算にしっかりと組み込んでおくことが、無理のない別荘ライフを続けるうえで欠かせません。

税金(固定資産税・都市計画税)

別荘を所有しているあいだ、毎年支払いが必要になるのが固定資産税と都市計画税です。これらは、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税される地方税で、不動産が所在する市区町村から納税通知書が送られてきます。税額は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額をもとに計算されるため、評価額が高い物件ほど税負担も大きくなります。

都市計画税は、市街化区域内にある土地や建物にかかる税金であり、すべての別荘に必ず発生するわけではありません。検討している別荘がどの区域に位置しているかによって、課税の有無や税率が変わるため、事前に確認しておくことが重要です。別荘の利用頻度が低い年でも、これらの税金は変わらず発生しますので、「あまり行けなかった年でも一定額は必要になる」という前提で年間の資金計画に組み込んでおきましょう。

管理費

別荘地やリゾートマンションでは、共用部分の維持管理や各種サービスの提供に対して管理費が発生します。リゾートマンションの場合は、共用廊下やエレベーター、エントランス、大浴場、プールなどの共用施設の清掃や設備維持にかかる費用が、管理費として毎月徴収されます。戸建ての別荘地では、私道や敷地内道路の補修、除雪、ゴミ収集、共用スペースの植栽管理、防犯や見回りといったサービスへの対価として管理費が設定されることが多くあります。

管理費の金額は、別荘地やマンションの規模、共用施設の充実度、提供されるサービス内容などによって大きく変わります。また、管理費・積立金は段階的に値上げされるのが一般的です。購入前には、金額だけでなく、その管理費でどのようなサービスが提供されているのかを確認し、ご自身の利用スタイルに合っているかを見極めることが大切です。

水道光熱費・通信費

別荘でも、通常の住宅と同様に電気・ガス・水道といった水道光熱費がかかります。利用していない期間であっても、契約を継続している限り基本料金は毎月発生しますので、「使っていない月は費用がほとんどかからない」というイメージとは異なる場合があります。

特に寒冷地の別荘では、冬場の凍結防止対策として、少量の水を流し続けたり、凍結防止ヒーターを常時作動させたりする必要があり、その分光熱費が増えることがあります。また、近年はリモートワークや長期滞在の拠点として別荘を活用する方も増えており、その場合はインターネット回線などの通信費もランニングコストとして考える必要があります。

水道光熱費や通信費は、利用頻度や地域の気候条件、契約内容によって変動が大きい費用です。どのような使い方を想定しているかをふまえたうえで、おおよその月額・年額をシミュレーションしておくと安心です。

保険料(火災保険・地震保険)

別荘の購入時に加入する火災保険や地震保険は、一度契約して終わりではなく、毎年あるいは数年ごとの更新時に保険料を支払い続ける必要があります。火災や自然災害から別荘を守るために欠かせない保険であり、維持費の一部として計画的に見込んでおきたい費用です。

保険料は、建物の構造(木造か鉄骨造か)、所在地、築年数、補償範囲や保険金額などによって変わります。地震保険は火災保険とセットで加入するのが一般的で、年間の保険料が数万円程度になるケースが多いですが、補償を手厚くするほど費用は増えます。ローンを利用して別荘を購入する場合、火災保険への加入が条件となることが多いため、契約時だけでなく更新のタイミングでも、内容と費用のバランスを見直していくことが大切です。

修繕積立金または修繕費

別荘を長く良好な状態で保つには、将来的に発生する大規模修繕に備えた費用も考えておく必要があります。リゾートマンションの場合、管理費とは別に修繕積立金が毎月徴収されるのが一般的です。これは、外壁塗装や屋根の修繕、共用設備の交換など、数年から十数年ごとに行われる大規模修繕の費用を、居住者全体で計画的に積み立てるためのものです。

一方、戸建ての別荘では、修繕積立金のような仕組みがあらかじめ用意されているわけではありません。そのため、屋根や外壁の塗り替え、給湯器や水回り設備の交換など、将来必要になる修繕費用に備えて、所有者が自ら資金を確保しておく必要があります。目安としては、年間10万〜20万円程度を修繕費として積み立てておくと安心です。日頃から建物の状態を意識してチェックし、傷みが小さいうちに対応することで、予期せぬ大きな出費を抑え、別荘の資産価値を守ることにつながります。

場合によってかかる追加の維持費

ここまでご紹介した税金や管理費、水道光熱費などは、多くの別荘で共通して発生する基本的な維持費です。一方で、物件の特性や契約条件によって、これらに加えて特有の維持費がかかる場合があります。代表的な例として、温泉付き物件にかかる温泉使用料・権利更新料、借地権付き物件の借地料、家屋敷課税による住民税の均等割などがあります。

こうした費用は、購入検討時には見落とされがちですが、年間の支出に与える影響は決して小さくありません。物件の説明書や重要事項説明書、契約書の内容をよく確認し、どのような追加費用が、どの程度の金額で、どのタイミングで発生するのかを把握しておくことが重要です。

温泉使用料・権利更新料

自宅で温泉を楽しめる別荘は、多くの方にとって非常に魅力的な選択肢です。その一方で、温泉付き別荘には、温泉を利用し続けるための費用がかかります。一般的には、月々の温泉使用料として、基本料金に加えて使用量に応じた従量料金が設定されているケースが多く見られます。

さらに、温泉を引く権利である温泉権に有効期間が定められている場合、数年ごと、例えば5〜10年に一度、数十万円単位の権利更新料が必要になることもあります。こうした費用は、物件価格や管理費だけを見ていてもなかなか見えてこない部分です。購入を検討する段階で、温泉権の形態(所有権か利用権か)、有効期間、更新料の有無や金額などをしっかりと確認しておくことが大切です。

借地料

別荘のなかには、土地の所有権を購入者が取得するのではなく、地主から土地を借りて建物を所有する「借地権付き物件もあります。この場合、土地の固定資産税は地主が負担するため、購入者にはその負担はありませんが、その代わりに地主へ借地料(地代)を支払う必要があります。

借地料の金額は、契約内容や地域の慣習、土地の条件などによって大きく異なります。長期にわたり継続的に支払う費用であることから、金額だけでなく、将来的な賃料改定のルールや契約更新時の条件なども含めて確認しておく必要があります。購入前の段階で、借地料の水準や支払い条件をしっかり理解しておくことで、将来の資金計画のズレを防ぎやすくなります。

住民税

住民税は通常、主な居住地がある市区町村に対して、所得割と均等割を支払うものです。ただし、別荘を所有している場合、状況によっては、別荘が所在する市区町村からも均等割部分のみが課税されるケースがあります。これは家屋敷課税と呼ばれ、別荘がその市区町村内における独立した生活拠点とみなされると適用されるものです。

多くの自治体の目安としての金額は年間5,000円〜6,000円程度と比較的少額ではありますが、別荘を所有していることによる維持費のひとつとして認識し、年間の支出に含めておくとよいでしょう。

その他(交通費、庭の手入れ、害虫駆除など)

こまでの費用以外にも、別荘の所有・利用にあたって見落としやすい出費がいくつかあります。自宅から別荘までの交通費は、その一つです。利用頻度が高くなるほど、年間の合計額は大きくなります。

また、庭付きの戸建て別荘では、草刈りや樹木の剪定といった庭の手入れが定期的に必要になります。自分で対応できない場合は、造園業者などへの依頼費用が発生します。山間部に位置する別荘では、季節によって害虫や小動物への対策が必要となる場合があり、害虫駆除や防除の費用がかかることもあります。雪の多い地域では、冬場の除雪費用も見込んでおかなければなりません。

こうした細かな出費は、一つひとつはそれほど大きく見えなくても、積み重なることで年間の支出に影響してきます。計画段階からある程度想定しておくことで、実際に別荘を持ったあとに感じるギャップを抑えやすくなります。

【賢く節約】別荘の費用を抑える5つの方法

別荘ライフには費用の負担が伴いますが、高いからといってすぐにあきらめる必要はありません。購入時の初期費用と、所有後の維持費の両面で工夫することで、負担を軽減できる可能性があります。

この章では、「別荘は高いから無理だ」と決めてしまう前に知っておきたい、費用を賢く抑えるための5つの方法を、購入費編と維持費編に分けてご紹介します。

【購入費編】初期費用を抑えるコツ

別荘の購入にかかる費用は、どうしても大きな初期投資になりやすいものです。ただし、物件の選び方や条件の優先順位の付け方を少し工夫するだけで、この初期費用を抑えられる場合があります。視野を広げて検討していくことで、数百万円単位の差が生まれることも珍しくありません。

ここでは、初期費用を抑えるための具体的な考え方として、中古物件の活用と、エリア・土地条件の見直しという二つのポイントを取り上げます。

中古物件を視野に入れる

購入費を抑えるうえで、効果が大きい方法のひとつが、新築にこだわらず中古物件も視野に入れることです。一般的に、中古物件は新築と比べて価格が大幅に抑えられていることが多く、同じ予算であれば広さや立地の選択肢が広がる可能性があります。

ただし、中古物件は築年数や建物の状態によって、購入後にリフォームや修繕が必要になることがあります。そのため、物件価格の安さだけで判断するのではなく、購入後に見込まれるリフォーム費用や修繕費用も含めたトータルの費用で比較検討することが大切です。状態の良い中古物件や、部分的なリフォームだけで快適に使える物件に出会うことができれば、コストを抑えながら理想に近い別荘を手に入れられる可能性があります。

エリアや土地の条件を見直す

別荘選びでは、知名度の高い人気エリアや、駅からのアクセスが非常に良い場所、眺望が抜群の立地などに目が向きがちです。しかし、こうした条件がすべて揃った場所は、その分物件価格が高くなりやすい傾向があります。

自分たちにとって本当に必要な条件は何かを整理し、優先順位をつけて考えてみることが大切です。たとえば、人気エリアから車で少し離れた場所を検討してみる、駅からの距離は多少妥協してバス利用も選択肢に含める、特定の眺望にこだわり過ぎず、静かで自然豊かな環境を重視するなどの工夫があります。条件をほんの少し緩めるだけで、物件価格が大きく変わるケースもあります。

栃木県内でも、同じエリア名で括られる場所の中に、価格帯や雰囲気の異なる区画が存在することがあります。現地を見ながら、希望する暮らし方と予算のバランスを取っていくことが、納得感のある別荘選びにつながります。

【維持費編】ランニングコストを削減するテクニック

別荘は購入して終わりではなく、所有している限りランニングコストがかかり続けます。この維持費をどのように抑えていくかは、長く無理なく別荘を楽しむうえでとても重要なポイントです。

ここでは、維持費を抑えるための具体的な方法を、税金の軽減、収益化による相殺、メンテナンスによる修繕費削減という3つの視点から見ていきます。

「セカンドハウス認定」で税金の軽減措置を受ける

別荘の維持費のなかでも、大きな割合を占めるのが各種税金です。この負担を軽減する方法のひとつとして、自治体による「セカンドハウス認定」の制度を活用できる場合があります。セカンドハウスとは、住民票は移さず、週末や休日などに自分で利用することを目的とした住まいのことです。

自治体によっては、セカンドハウスを対象に、不動産取得税や固定資産税、都市計画税などについて軽減措置を設けているところがあります。適用条件は自治体ごとに異なりますが、「月に一定日数以上宿泊していること」など、利用実態に関する要件が定められていることが多いです。賃貸目的の事業用物件とは扱いが異なり、自分たちの居住を主な目的とした別荘であることが前提となります。

検討している別荘がセカンドハウス認定の対象になり得るかどうか、どのような軽減措置があるかについては、事前に自治体や不動産会社に確認しておくとよいでしょう。セカンドハウスに関する制度や税金の軽減措置は、自治体ごとに内容や条件が大きく異なり、今後見直される可能性もあります。実際に活用を検討する際は、必ず対象となる自治体の担当窓口で最新の制度内容を確認してから判断することが重要です。

参考:セカンドハウスとは?別荘との違い

別荘を使わないときは貸し出して収益化する

別荘の維持費を抑える方法として、自分が使わない期間に他の人に貸し出し、家賃収入を得るという活用方法もあります。近年は、民泊仲介サイトの普及により、個人でも短期的な貸し出しを行いやすくなっています。また、別荘専門のレンタル管理会社に運営を委託すれば、利用者との連絡や清掃、鍵の受け渡しなどを代行してもらうこともできます。

これにより、管理費や固定資産税など、毎年発生する維持費の一部、場合によっては多くを家賃収入でカバーできる可能性があります。ただし、他人が利用することによる建物の消耗や、清掃・トラブル対応の手間、旅館業法などの法令を守るための手続きといった点には注意が必要です。一定の頻度で貸し出す場合には、旅館業法上の許可が必要となるケースもありますので、収益化を検討する際は、メリットとリスク、法的条件を含めて慎重に検討することが大切です。

※別荘地の管理規約や自治体の条例により、民泊が禁止されているエリアもあります

定期的なメンテナンスで将来の大きな修繕を防ぐ

別荘の維持費のなかでも、特に予期せぬ負担になりやすいのが修繕費用です。長期的な視点で修繕費を抑えるためには、日頃からのこまめなメンテナンスが不可欠です。小さな不具合を放置した結果、大きなトラブルに発展し、高額な修繕費につながるケースは珍しくありません。

たとえば、屋根の小さなひび割れや雨樋の詰まり、外壁の一部の傷みなどは、早い段階で見つけて手を打つことで、雨漏りや構造部分の腐食といった問題を防ぐことができます。また、定期的な換気や清掃、設備の動作確認など、日頃から「予防保全」の意識で建物に向き合うことで、建物の寿命が延び、大規模な修繕の頻度や規模を抑えられる可能性があります。

別荘を訪れるたびに、楽しむ時間と合わせて建物の状態も確認する習慣を持っておくと、結果的に修繕費の抑制にもつながります。

別荘購入で後悔しないために知っておくべき注意点

別荘を持つことは、多くの方にとって憧れのライフスタイルですが、その一方で、現実的な費用や手間を正しく理解しておくことが欠かせません。購入費用だけに目を向けてしまうと、購入後の維持費を見誤り、「思っていた以上に負担が大きく、手放さざるを得なかった」という結果につながるおそれがあります。

この章では、別荘購入で後悔しないために、資金調達の考え方、維持費のシミュレーションの重要性、信頼できる管理会社選びという三つの視点から、押さえておきたい注意点を整理します。これらを踏まえて計画を立てることで、理想の別荘ライフを安心して長く楽しむための土台づくりにつながります。

住宅ローンは原則利用できない?別荘のローンについて

別荘購入の資金調達を考える際、多くの方が思い浮かべるのが住宅ローンです。しかし、一般的な住宅ローンは「自分が主として居住する家」を対象としているため、多くの金融機関では一般的な住宅ローンの対象外となることが多く、日常的に住まない別荘には原則として利用できません。

そのため、別荘の購入資金には、通常の住宅ローンよりも金利がやや高めに設定されているセカンドハウスローンや、使い道を限定しないフリーローンなどを利用するケースが多くなります。セカンドハウスローンは金融機関によって取り扱いの有無や金利、借入条件が異なります。フリーローンは担保不要の商品が多い一方で、その分金利が高くなる傾向があります。

資金計画を立てる際には、物件価格だけでなく、利用予定のローンの金利や手数料、保証料なども含めた総返済額を比較・検討し、自分たちの返済計画に無理がないかを慎重に確認することが重要です。

購入前に必ず維持費のシミュレーションを行う

別荘購入で特に後悔を招きやすいのが、「購入後の維持費を十分に想定できていなかった」というケースです。物件の魅力や価格だけで判断してしまう前に、必ず年間の維持費がどの程度になるのかを具体的に試算しておきましょう。

この記事で取り上げた固定資産税・都市計画税、管理費、水道光熱費、火災保険料、修繕積立金などの項目を参考にしながら、検討中の物件についてパンフレットや管理規約を取り寄せたり、不動産会社や管理会社に詳細を確認したりして、ご自身のケースに即した維持費リストを作成してみてください。

特に別荘は、利用していない期間であってもさまざまな費用が発生し続ける点が、自宅との大きな違いです。冬場の凍結防止にかかる費用や、利用していない期間の電気・ガス・水道の基本料金なども含めて洗い出しておくことで、「こんなにかかるとは思わなかった」というギャップを減らし、安心して所有し続けるための判断材料になります。

信頼できる管理会社を見つける

別荘は、自宅から離れた場所に所有することが多く、日常的な管理やトラブル対応を自分たちだけで行うのが難しい場合も少なくありません。特に利用頻度が低い別荘や、遠方にある別荘の場合には、定期的な巡回や清掃、設備の点検、不測のトラブル時の対応などを任せられる管理会社の存在が、別荘の資産価値と快適性を守るうえで重要な役割を果たします。

管理会社が提供するサービスには、建物外観の定期チェック、庭や外構の手入れ、室内清掃、郵便物や宅配物の確認、冬季の凍結防止対策、設備故障時の手配など、さまざまなものがあります。契約内容によって、費用やサービスの範囲が大きく異なるため、複数の管理会社から見積もりを取り、提供されるサービス内容や料金、実績、評価などを比較検討することが大切です。

信頼できる管理会社と連携することで、離れた場所からでも安心して別荘を所有し、活用していくことができます。栃木ハウスで別荘をご検討いただく際には、管理会社のご紹介も行っています。

まとめ:総費用を把握して理想の別荘ライフを実現しよう

本記事では、別荘の購入時にかかる初期費用から、所有しているあいだに継続して発生する維持費まで、その全体像と主な内訳を具体的に整理してきました。別荘を検討する際には、どうしても物件価格そのものに目が行きがちですが、実際には、印紙税や登録免許税、不動産取得税、仲介手数料、ローン関連費用、火災保険・地震保険などの諸費用を含めた「購入費」と、固定資産税や管理費、水道光熱費、保険料、修繕費などの「維持費」を合わせた総費用を事前に把握しておくことが重要です。

中古戸建て・新築戸建て・リゾートマンションのシミュレーションで見たように、購入時には物件価格に対しておおよそ1割前後の諸費用が必要になるケースが多く、購入後は物件の規模や条件にもよりますが、年間50万〜80万円程度の維持費がかかるのが一般的な目安です。こうした費用の構造を理解したうえで、ご自身のライフスタイルや利用頻度、将来の計画に合った資金計画を立てることで、「せっかく購入した別荘が負担になってしまう」という事態を避けやすくなります。

栃木ハウスでは、栃木県内の別荘地の特徴や費用感をふまえ、「どのくらいの予算で、どのエリアに、どのような別荘を持つのがよいか」といったご相談を、土地探しの段階からお受けしています。初期費用と維持費のバランスを踏まえた資金計画の整理や、別荘として使いやすい間取り・性能のご提案も行っており、「この予算でどの程度の別荘が現実的か知りたい」「候補地があるが、どのような建物計画が合うか相談したい」といった段階からご相談いただくことが可能です。

栃木での別荘・セカンドハウスをより具体的にイメージしたくなったときは、ぜひ一度、栃木ハウスまでお気軽にお問い合わせください。費用面の不安を整理しながら、あなたの理想の別荘ライフを現実的な計画へと落とし込むお手伝いをいたします。

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